創業から3年間、正社員はゼロ。23名の業務委託チームを束ね、クライアントの集客を最大10倍に引き上げてきた――そんな実績を持つのが、株式会社BALSA 代表取締役の中川 聖悟氏です。
現在4期目を迎える同社は、LINEと連携して使えるマーケティングオートメーションツール「Lステップ」を活用したLINEマーケティング支援を専門とし、パーソナルジム・フィットネス・クリニックなど幅広い業種の支援を担っています。
その成果は数字にも表れており、整体院の予約率を3%から25%へ、あるクリニックの月間集客数を300人から2,900人へ引き上げるなど、着実に実績を積み重ねてきました。
その背景にあるのが、正社員ゼロでも機能する組織の設計です。核心にあるのは、スキルや実績よりも「素直でいい人かどうか」を起点にした人材選び。その判断が組織のあり方を決定づけてきたといいます。
業務委託を活用した組織設計の取り組みと、人材選びの考え方について、中川氏に話を伺いました。
株式会社BALSAの具体的な運用事例や実績は、オウンドメディア「BALSA Media」で詳しく紹介しています。
BALSA Media

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業務委託3名とスタートした、中川氏の組織づくりの原点
株式会社BALSA(以下、BALSA)は、「Lステップ」を活用したLINEマーケティング支援を主軸に、パーソナルジム・フィットネス・クリニックなどの業種に特化したプロダクト展開を行っています。
現在は4期目を迎え、正社員2名・業務委託23名の計25名体制で事業を運営しています。
創業時、BALSAは業務委託3名がいる状態でスタートしました。一般的には正社員を中心に組織を立ち上げるケースが多いなかで、最初からあえて業務委託主体の体制を選んだといいます。
代表取締役の中川氏は、独立前にみずから主宰していたLINEマーケティング講座の受講生のなかから、すでに人柄やスキルを知っているメンバーに声がけし、事業をスタート。互いをよく知った関係だったからこそ、「創業当初からスピード感を持って質の高いアウトプットを生み出せた」と振り返ります。
事業拡大を前提にした、創業期からの組織づくり

「自分一人でやる」という選択肢は、最初から中川氏の頭にはなかったといいます。創業前にパーソナルジム運営・民泊運用代行・SNS運用など複数の事業を経験してきた中で、「拡大するならまずは業務委託で人を増やす」という考えが早い段階から根付いていたからです。
人件費を抑えながら、人柄や仕事ぶりを見極めた上で必要に応じて正社員へ移行できる――そうしたスモールステップの考え方が、業務委託主体の体制を選んだ背景にあります。
1年後にはクライアントが10社・20社になっていると思っていたので、業務委託として協働してもらっている最初の3人を育てて、その下に人を増やしていこうと考えていました。だから最初から人がいる状態でスタートしたのは、自分にとっては自然な流れでした。(中川氏)
こうした考えのもと、3年間は正社員を置かずに事業を運営してきました。
バックオフィス業務は当初、長く関わりがあった業務委託のメンバーに依頼しながら対応していましたが、規模が大きくなるにつれて「ここはきちんと固めた方がいい」と判断し、そのメンバーに正社員オファーを出したのが1年半前のこと。
クライアントワークに関する業務は引き続き業務委託メンバーが担い、現在は正社員2名がバックオフィスとマーケティングを担う役割分担が形成されています。
「業務委託からスタート」でミスマッチを防ぐ組織設計
正社員ではなく業務委託からスタートすることについて、中川氏は一貫した方針を持っています。まず業務委託として協働し、人柄や仕事ぶりをお互いに理解した上で、必要に応じて正社員へ移行する――このスモールステップが、「ミスマッチの防止」と「長期的な関係構築」につながると考えているからです。
最初から正社員として採用すると人件費が固定費としてかかり続けますが、業務委託であれば依頼する業務の範囲に応じてコストを調整できるため、事業の成長に合わせた柔軟な体制づくりが可能になります。
業務委託からスタートすることで、お互いにとってスモールステップになります。合わなければ傷が浅い。逆に、何年もいっしょに仕事してきたメンバーのことは、もう知り尽くしているので、安心して正社員のオファーを出せるという感覚です。(中川氏)
実際、現在の正社員2名も元々業務委託として長期にわたって協働してきたメンバーです。業務委託を採用の入口として位置づけ、長期的な信頼を積み上げた上で雇用へ移行するというスモールステップが、中川氏の組織づくりの基本姿勢として定着しています。
採用の核心に置く「素直さ」と、未経験者を積極採用する理由
業務委託の採用の判断軸として、中川氏が最も重視しているのが、「素直でいいヤツかどうか」という点です。スキルや実績よりも先に、人柄が合うかどうかを確認することを大切にしています。
面談のときに、聞いた質問にちゃんと答えてくれるか、自分を大きく見せようとしていないか、人のことを悪く言わないか、そういうところを見ています。スキルよりも、人として誠実かどうかが採用の核にあります。(中川氏)
この「素直さ」への着目は、経験から生まれたものでもあります。過去採用した業務委託のメンバーのなかに、スキルはあっても価値観が合わず、長続きしなかったメンバーがいたそうです。その経験から、スキルよりも素直さや吸収力といった人柄を重視するほうが、結果的に長くいっしょに働けて成果にもつながると気づいたといいます。
素直に吸収してくれる人であれば、LINEのスキルは後から教えられる――その考えが、未経験者採用という選択にも自然とつながっていきました。
その確信を強めたのが、あるメンバーとの経験です。人柄や価値観がマッチして採用したそのメンバーは、本業で上場企業のクライアントワークを長く経験してきた人物。副業としてBALSAで稼働するなかでLINEマーケティングを身につけていくと、本業で培ったクライアント対応力や仕事への姿勢がそのまま活き、大きな成果につながったのです。
スキルをすでに持っている人を探すより、本業で強みを持っている人にノウハウを教えた方が早い。素直に吸収してくれる方が、結果的に伸びも早いんですよね。(中川氏)
無料研修と分業体制によるクライアントワークの設計

業務委託のメンバーが実際のクライアントワークを担うにあたって、中川氏が力を入れてきたのが、未経験者でも参加できる仕組みづくりです。LINEマーケティングのスキルを身につけたい人向けの有料講座は多数存在しますが、BALSAでは費用をかけずに参加できる無料研修プログラムを用意しています。
有料講座にお金を払えない人の中にも、いい人材はいるはずだと思っていました。そこの取りこぼしをなくしたくて、うちで研修を受ければそのまま稼働を始められる仕組みを作ったんです。この研修を始めてから採用が本当にうまく回るようになりました。(中川氏)
副業を探している業界未経験の方や子育て中のママさんなど、これまで副業の始め方がわからなかった層からの参加が増えており、業務委託のメンバーとの出会いの入口として機能するようになっています。
現在のメンバーの年齢層は大学生から40代まで幅広く、平均年齢は30代半ば前後。経歴も多様ながら、人柄の軸でそろえることでカルチャーのずれを防いでいます。
1クライアント2名体制と、経験に応じた役割設計
BALSAでは、1案件につきフロント担当1名と運用者1名の2名体制でクライアントワークを進めています。フロント担当がクライアントとの打ち合わせや施策の提案・意思決定を担い、運用者が実際のメッセージ設計や配信などの実務を担う分業構造です。

セキュリティ面でも独自の方針があります。管理画面のアクセス範囲は、会社と業務委託メンバーとの契約で定めた役割に応じて制限し、信頼関係を積み重ねながら任せる範囲を段階的に広げていく設計です。また、クライアントとの連絡窓口は、一定のスキルを満たしたメンバーのみが担う形にしており、入ったばかりのメンバーがクライアントと直接やりとりする状況を防いでいます。
勉強会・交流と、業務委託ならではの線引き
フルリモートで業務委託メンバーが協働するBALSAでは、案件ごとに初対面同士がアサインされるケースが生まれます。
「相手の動き方が読めない状態でいきなり仕事を始めると、いっしょに同じ案件を担当するメンバーにもストレスがかかる」と中川氏は話しており、案件開始時には任意の内部キックオフを設けて相互理解の機会を確保しています。
仕組みづくりと並行して、中川氏がメンバーとの関わり方でも意識してきたのが、業務の枠を超えた人間的なコミュニケーションです。定期的にゲストを招いたオンライン勉強会を任意参加の形で開催しており、税務や業務スキルなど、メンバーの仕事や生活に役立つテーマを幅広く扱っています。
一方で、業務委託との関わり方においては意識的に線引きも設けており、業務委託メンバーが自分の判断で動ける環境を守ることを、関係性の面でも法的な観点からも重視しているといいます。
ウェットな関係性を大切にしながらも業務委託としての独立性を尊重する、その絶妙なバランスが長期的な信頼関係の土台になっているそうです。
クライアントへの成果と、業務委託がもたらした組織の変化
業務委託メンバーが担うクライアントワークの成果は、数字にも表れています。
整体院ではLINE経由の予約率が3%から25%へ。立ち上げ当初から継続して担当しているクリニックでは、月間集客数が300人から2,900人へと伸長しました。保険診療クリニックの予約率が向上したり、美容系インフルエンサーとのコラボ化粧品が即日完売したりするなど、業種を問わず成果が積み上がっています。
こうした結果の背景について、中川氏はクライアントのサービスそのものの質を前提としながら、メンバーの現場に寄り添う姿勢を成果の要因として挙げます。
フロントのメンバーが、クライアントさんの意向を汲み取って施策に落とし込んでくれます。オフラインで足を運んでクライアントさんと連携してくれることも。そして「こんなことできないかな」という要望を、運用のメンバーがなんとかLINEで形にしようとしてくれる。こうしたフロントメンバーの泥臭い努力と運用メンバーの支えが、成果につながっているんです。(中川氏)
売上以外の変化として、中川氏が実感しているのがメンバー自身の成長と、組織としての一体感です。
LINEの知識がゼロで入ったメンバーが2年目には複数の案件を自律的に担当できるようになったケースもあり、「成長できる環境がある」ことへの手応えを感じているといいます。
また、任意の交流の場で自発的にメンバー同士がつながり始め、「温かい組織になってきた」と中川氏は話します。
株式会社BALSAの具体的な運用事例や実績は、オウンドメディア「BALSA Media」で詳しく紹介していますので、下記も併せてご覧ください。
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「働ける場をつくる」という、もう一つの目標

業務委託の活用と並行して、中川氏が一貫して大切にしているのが「働ける場をつくること」です。
子育てをしながら副業を探している方、これまでの職場とは別の形で仕事に関わりたい方――そうした方にとって、BALSAでの稼働が「ここにいる時間、楽しかったな」と感じられるものになってほしいと話します。
業務委託といえど、命の一部を使っていっしょに働いてくれているわけじゃないですか。だから、待遇をちゃんとする、一人ひとりを大切にする。長く稼働してどこかへ巣立ったときも、BALSAにいて良かったと思ってほしい。そういう関係でいたいという気持ちは、ずっとあります。(中川氏)
中川氏はメンバーと話す際、仕事の話だけでなく、その人がどんな人生を歩みたいかについても関心を向けています。仕事を通じてメンバーが新たな価値観や目標を見つけていく様子が、おもしろいと話します。
仕事も大事だけど、それだけじゃない。いろんな経験をして、自分のお金の使い方や生き方を見つけてほしい。そういう話を若いメンバーにはよくしています。仕事外で何かを見つけた人を見ると、すごく嬉しいんですよね。(中川氏)
人柄を起点に関係を築き、その人の人生ごと応援する――4年間の実践を通じて中川氏が行き着いたその姿勢こそが、正社員ゼロでも機能する組織の根幹にあるのかもしれません。
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本記事は2026年4月に実施した取材をもとに構成しています。取材情報は同時点のものです。引用は読みやすさのために体裁を整えています。
本記事で紹介した成果は取材対象企業固有のものであり、すべての企業に同様の効果を保証するものではありません。

