リソース不足で事業はストップしない。株式会社GIG・穂坂氏が築いたメディア運営の新たな運用体制

著者:服部麻梨
新規事業が次々と立ち上がるベンチャー企業では、スピードとリソース不足が常に隣り合わせです。しかし、人手が足りないからといって、事業を止めるわけにはいきません。

株式会社GIG(以下、GIG)は、Web制作を起点にSEOや広告運用などのマーケティング支援まで行うデジタルコミュニケーションパートナーです。現在ではこれらのクライアントワークに加え、フリーランスや副業人材と企業をつなぐ求人・案件検索プラットフォーム「Workship」をはじめとする自社事業を展開し、複数のメディアを運営しています。

同社で自社メディアの運営を管轄する株式会社GIG・Marketing事業部マネージャーの穂坂氏は、業務委託を活用し、外部人材がコンテンツディレクターを担う体制を築くことで、少人数体制でも事業を推進できる環境を構築しました。

スピード感のある判断と対応が求められるベンチャー企業で、次々に立ち上がるプロジェクトを止めずに動かし続ける――その背景にはどのようなストーリーがあったのでしょうか。
株式会社GIG穂坂氏の業務委託活用で得られたこと
目次

次々と立ち上がる新規事業に、社内の体制が追いつかない

GIGでは、自社事業として展開するHRサービス「Workship」をはじめ、クロスデザイナークロスネットワークといったサービスやメディアの立ち上げが続いていました。既存メディアの運用に加え、新規メディアの立ち上げや改善を同時に進めていく必要があり、社内の体制構築が追いつかない状況にあったといいます。

業務の拡大により、リソースの限界が見え始めた

「Workship」の立ち上げ間もない頃は、穂坂氏自身もコンテンツのディレクションを担い、ライターが執筆した記事の編集チェックや入稿確認などを一手に担っていました。月に10本、多いときには20本近い記事を確認することもあり、その作業だけで半月近い時間が割かれていたといいます。

その後、穂坂氏はMarketing事業部のマネージャーへと昇進し、自社メディアの運営・クライアントのマーケティング支援に加え、チームのマネジメント業務も行うようになります。

さらには2026年4月時点で6万3,000人を超える登録者を抱える「Workship」を基盤に、関連サービスが次々に立ち上がり、社内リソースの限界が見え始めていました。

確認の精度が下がり、コンテンツの質や成果にも影響

関連サービスの立ち上げで、コンテンツ本数は増加し、業務に追われる日々が続きます。こうした状況は、原稿チェックの精度を低下させる事態を招いていました。

他の業務も円滑に回していくために、原稿の確認に割ける時間が減っていったんです。以前であればこだわって修正していた部分も、効率を優先してスルーしてしまうことがありました。(穂坂氏)

ディレクションにしっかり時間を割けていた頃は、細かなコメントをつけながら記事をブラッシュアップしていたといいます。しかし、業務量の増加に伴い、一つひとつの記事に向き合う時間は限られ、次第に原稿へのコメント数は減っていきました。

確認が甘くなると、数字も伸びづらくなるんです。成果が伸び悩んでいても、十分な時間を改善施策に当てることができず、とにかく余裕がありませんでした。(穂坂氏)

結果として、コンテンツの質という面だけでなく、成果にも影響が出始めていたのです。

ディレクションも外部へ。業務委託の役割を再設計

もともとGIGでは、ライター業務を中心に業務委託を活用しており、外部人材との協働は日常的に行われていました。また、自社で展開するHRサービス「Workship」を通じて、業務委託人材とつながる環境が整っていたことも、活用を後押ししたといいます。

業務委託の役割を拡張し、業務負荷を軽減

こうした状況の中で、穂坂氏がまず着目したのが、業務委託の役割そのものを見直すことでした。

ライターの方にお願いするだけでは、正直そこまで負担が減ることはなかったんです。懸念していたチェックやディレクションの負荷はそのまま残るので、根本的な解決にはなっていませんでした。(穂坂氏)

そこで穂坂氏は、コンテンツ制作の中核であるコンテンツディレクション業務を外部に委ねるという選択に踏み出します。
運用体制図
ライターのほか、編集作業や改善提案までを含めたコンテンツディレクターとしての役割を外部人材に担ってもらうことで、業務体制の構造を見直したのです。

これにより、日々発生していた原稿のチェック業務の負荷が軽減され、本来時間を割くべきだった戦略や方針の策定に集中できるようになりました。

ミニマムの依頼から適性を見極め、コンテンツディレクターを抜擢

優秀な人材を見極めるには、実際に依頼をしてみないと、その判断は難しいものです。

穂坂氏は、業務委託として依頼をする前には、必ず一度は対面でコミュニケーションを取り、カルチャーマッチなどを確認します。しかし、それだけで適性まで判断するのは難しい――そうした考えから、初めて依頼をする際には、できるだけ小さい範囲から任せるかたちを取っています。

現在活躍しているコンテンツディレクターも、もともとはライターとして依頼していた外部人材でした。

ライターとして取材や執筆などの業務をこなしてもらう中で、そのコミュニケーション能力の高さに、「ディレクションも対応できそうだ」と感じました。実際にお願いしてみると、ライターへのフィードバックも非常に丁寧で、安心して任せられる手応えがありました。(穂坂氏)

業務委託は専門性を持つプロの人材であり、対等な存在

外部人材と成果を出していくうえで、穂坂氏がまず重視しているのが、相手との関係性です。

対等な関係性と裁量が、主体的な提案を生む

業務委託は、専門性を持つ即戦力のパートナーです。ある程度の裁量を持って任せることで、提案が生まれやすくなり、モチベーション高く取り組んでもらえると穂坂氏はいいます。

特にコンテンツディレクターの方とは、定期的にミーティングの場を設け、考えていることや課題感をすり合わせているそうです。

パートナーとして、対等な関係で話すことが前提です。わからないことはこちらから聞く場合もありますし、意見をもらうことも大事にしています。皆さんそれぞれ専門性を持っているので、「頼っている」という意識がしっくりきますね。(穂坂氏)

また、契約形態としては準委任契約を採用しており、稼働時間ベースで依頼をしていることも特徴です。

一般的に業務委託には、成果物に対して報酬が発生する「請負契約」と、業務の遂行そのものに対して報酬が発生する「準委任契約」があります。今回のようなコンテンツディレクター業務は、後者の準委任契約と相性がよく、明確にタスクを切り出しにくい業務についても、状況に応じて柔軟に対応してもらうことが可能です。

こうした契約形態による柔軟性も、業務委託を活用して複数のプロジェクトを同時に進める上で、重要な要素となっています。

中長期で関係を築き、パフォーマンスを引き出す

さらにGIGでの業務委託の活用は、中長期での関係構築を前提としています。

新たに人材を探すこともありますが、一度関わった外部人材には、継続的に仕事を依頼するケースがほとんどです。そのネットワークから派生して、良い人材が見つかることも少なくありません。

やはりゼロから探すよりも、一度お願いしたことがある方のほうが信頼も、やりやすさもあります。お互いに理解がある状態から始められるので、スムーズに進むことが多いんです。(穂坂氏)

また、穂坂氏が属するMarketing事業部では、依頼したい案件に適した業務委託の方とスムーズにコンタクトが取れるように、過去に依頼した外部人材のスキルや特性をリスト化し、社内で共有しています。こうした情報共有の積み重ねが、スピード感のある体制構築を支えているのです。

依頼範囲の拡張がもたらした変化と成果

今まで自らが行っていたディレクション業務を切り出して依頼したことで、成果はもちろん、時間の使い方にも変化が生まれたといいます。穂坂氏は、自社メディアの運用が安定することにより「余裕」が生まれ、その余裕を次の施策に再投資できる点を強調しています。

チームで成果を出せる体制が整い、KPI達成率が向上

かつてはコンテンツの伸びに課題を感じていた穂坂氏ですが、新たなコンテンツディレクターを迎えたことで、現在では安定的に成果を出せるチームへと変化してきたといいます。これによりKPIにコミットできるようになり、より成果に向き合える環境が整いました。

さらに、業務委託の活用は副次的な効果ももたらしています。

自社メディアの運用では、新入社員を業務委託のコンテンツディレクターのもとで業務に関わってもらうことで、実務を通じてノウハウを学べる環境が生まれています。こうした体制が、結果的にチーム全体の底上げにもつながっていると感じます。(穂坂氏)

外部人材の持つ知見やノウハウは、社内メンバーへのフィードバックとして還元され、育成の面でも効果が生まれていました。

もちろん、ビジネスの前提となる考え方や社内での意思決定、調整といった部分は社員が担っています。その上で、コンテンツ制作に関する専門的な知見については、業務委託の方から学ぶ場面も多くありました。

それぞれの役割を分担しながらノウハウを取り入れていくことで、結果としてチーム全体の底上げにもつながっていたのです。

リソースに余裕が生まれ、戦略策定やマネジメントに集中できる環境が整った

負荷の大きかったコンテンツディレクションを外部人材に任せたことで、穂坂氏の業務配分には大きな変化が生まれました。

以下は、その前後で工数がどのように変化したかを示した図です。
株式会社GIG穂坂氏の業務委託導入後の工数変化
これまで多くの時間を割いていた自社メディアの運営工数は大きく削減。さらに、チェック業務に圧迫されていた時間は、戦略策定などの思考が求められる領域へとシフトしました。

同時に、マネジメント業務に充てる時間も確保できるようになり、より本来担うべき役割に集中できる環境が整ったといいます。

メディア運営の戦略策定は、優先度が高い一方で、手をかけなくても運用自体は回ってしまう領域でもあります。だからこそ後回しになりやすいので、そこにしっかり時間を使えるようになったのは大きかったですね。(穂坂氏)

こうした変化の背景にあったのは、「限られたリソースの中でも事業を前に進めよう」とする、穂坂氏の意思と、それを実現するための体制の見直しでした。

新規事業が次々と立ち上がる環境では、事業のスピードとリソースの問題は常に隣り合わせです。すべてを社内で抱え込もうとすれば、やがて限界を迎え、かえって成長のスピードを落としてしまうことにもつながりかねません。GIGでは、この取り組みを前提とした体制のもと、今後も新たな自社メディアの立ち上げを構想しているといいます。

こうした実践から見えてくるのは、人手不足を理由に立ち止まるのではなく、体制そのものを見直すという選択肢の重要性です。

人手不足は事業を止める理由にはならない――業務委託の活用は、その一つの方法として大きな可能性を秘めています。

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本記事で紹介した成果は取材対象企業固有のものであり、すべての企業に同様の効果を保証するものではありません。取材情報は2026年3月現在のものです。
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服部麻梨のアバター 服部麻梨 ナイルのプロ人材活用ナビ 編集者

アパレル販売員・営業職を経て編集者へ転身。多様なキャリアで培った視点を活かしながら、業務委託人材と並走しクライアントのメディア運営を支援。「本当に必要としている人へ、誰もが理解できる情報を届ける」を軸に、編集に取り組んでいる。