2年間の停滞を打破した転機。セルバ・中山氏が業務委託で月商2.5倍を実現した方法

著者:鈴木麻葉
「SEOの施策候補は調べれば出てくる。でも自社サイトにどれを優先して当てはめればいいかが、判断できなかった」。そう話すのは、Webシステム開発と自社求人ポータルサイトの運営を手掛ける株式会社セルバ代表取締役社長の中山 健氏です。

薬剤師向け求人サイト「セルワーク 薬剤師求人」のSEO改善に社内で取り組んだものの、順位もアクセスも伸び悩む状況が約2年間続きました。転機となったのは、データベース型Webサイトの実績を持つ外部のSEOコンサルタントを業務委託として起用したことです。その判断が、停滞していた月商を2.5倍に押し上げる成果につながりました。

「自分たちで答えを探すより、すでに答えを持っている人に早く聞いた方がいい」────なぜ専門家への委託を決断し、どう成果につなげたのか。中山氏に、業務委託を活用した体制づくりの経緯と失敗を含めた実践内容を伺いました。
業務委託の活用で得られたこと:1. 停滞サイトの課題を特定・改善できた、2. 週次PDCAの継続で順位とアクセス数を向上できた、3. 差別化コンテンツを実現できた、4. 分析を委ねることで新事業への時間を確保できた
目次

自社SEOで2年間試し続けた、順位が伸びない壁

株式会社セルバ(以下、セルバ)は現在、Webシステム開発と自社求人ポータルサイトの運営という2本柱で事業を展開しています。

開発事業では、求人数が数万件規模に及ぶ求人ポータルや口コミサイトなど、データベース型Webサイトの構築を得意としており、自社サービスとしては薬剤師向けの「セルワーク 薬剤師求人」やITフリーランス向けの「セルワーク ITフリーランス」も展開しています。

現在は中山氏が会社全体のマーケティング戦略を担い、SEO担当と広告担当の2名の社員が実務を推進。業務委託のコンサルタントやライターも活用しながら複数サイトのSEOと広告運用を分担して回しています。

一方で中山氏は、グループ会社・株式会社セルバコンサルティングが手掛けるSES事業(ITエンジニアの派遣・紹介)の立ち上げにも経営者として注力しており、限られた時間をどこに使うかが常に課題でした。

SEO体制の確立においても例外ではなく、「現在の形が整うまでには長い試行錯誤があった」と中山氏は話します。

施策の優先順位が立てられない停滞した2年間

自社サービス「セルワーク 薬剤師求人」のSEO改善に着手した当初、中山氏は社内のSEO担当者とともに自力で施策を模索し続けました。当時の状況を中山氏はこう振り返ります。

施策候補は調べればいくつも出てくる。問題は、どれを優先して実施すればいいかという判断がつかないことでした。(中山氏)

手を打てないまま時間だけが過ぎていく状態に焦りを感じ始めたころ、SEO支援の専門会社に依頼してみたこともありましたが、そこでも大きな成果は得られませんでした。自社での試行錯誤も外部会社への依頼も、いずれも突破口にはならず、約2年が過ぎていたといいます。

自分たちでできることが思いつかなくなってきた、というのが正直なところでした。(中山氏)

そう振り返る言葉が示すように、自社での取り組みに限界を感じたとき、はじめて外部の専門家を本格的に入れるという判断に踏み切ることになります。

社内知見だけでは届かなかったデータベースSEOの壁

「セルワーク 薬剤師求人」のような求人データベースサイトでは、同じ構造のページが数万件規模で存在するため、個々のページの品質よりも「サイト全体の設計」が検索順位に大きく影響します。

URL設計、求人詳細ページのコンテンツ構成、内部リンクの貼り方など、テンプレートレベルの改善が順位を左右するため、記事制作の経験だけでは対処しにくい難しさがありました。

当時のSEO担当社員は元々Webライター出身であり、テクニカルな内部SEO、特にデータベース型サイト特有の施策については知見が十分ではありませんでした。

そのため、施策の方向性は見えても、サイト全体の構造改善を実行できる人材が社内にいない。この状況を打開するには、データベースサイトのSEOに精通した外部の知見が不可欠でした。

SEO専門会社から個人コンサルタントへ、業務委託選定の判断軸

株式会社セルバ 中山氏
外部専門家の起用を決めた中山氏が選んだのは、SEO支援の会社ではなく、個人のSEOコンサルタントへの業務委託でした。この判断の背景には、過去の失敗から得た教訓がありました。

コンサルマッチングサービスで見つけた、データベースSEOの実績者

中山氏が個人コンサルタントを探す際に活用したのが、スポットコンサルのマッチングサービスです。複数の専門家にスポット相談を行い、その中から現在も依頼を続けているコンサルタントの方と出会いました。

決め手は、同種のデータベースサイトでSEOを手がけてきた実績と、初回の面談で課題を提示したときの提案の質の高さでした。

SEO支援の会社に依頼したこともあったんですけど、成果がなかなか出なかった。結局、その会社の実績ではなくて、担当するコンサルタント個人の実力がものをいうんですよね。(中山氏)

SEO支援会社に依頼する場合、窓口となるのは会社ですが、実際に施策を考えるのは担当者個人です。会社の規模や実績が、担当者の力量を保証するわけではありません

そう気づいたからこそ、中山氏は「次は会社ではなく、実力のある個人を直接探そう」と判断し、マッチングサービスからのスポット相談へと踏み切りました。

では、どんな基準で人を選んだのか。中山氏が確認したのは、「どの業界の出身か」ではなく「どんなサイトで、どれだけ数値を伸ばしてきたか」という実績です。

特に、同じデータベース型サイトでSEOを改善した経験があるかどうかを重視したといいます。この「出身業界より実績」という判断軸は、以前の業務委託での失敗から導き出したものでもありました。

施策の引き出しが豊富な専門家でも、データベースサイトの経験がなければ的外れな提案になりかねない──そうした判断が、今回の選定を成功に導いたのです。

採用代行・営業代行の失敗から見えた選定の原則

「出身業界より実績」という判断軸は、SEOコンサル以外の失敗経験からも裏づけられています。

エンジニア採用代行を依頼した際は、大手求人サイト出身者が「この媒体に求人を掲載しましょう」という媒体活用の域を出ず、泥臭いアプローチには踏み込んでもらえなかったといいます。結果として採用には至らず、出身業界のバックグラウンドよりも「実際にどう動いてきたか」こそが重要だと痛感した経験でした。

また、システム開発案件の営業代行では、アポイント獲得数を成果指標にしていたため、リードの温度感が低いまま商談に進むことになり、受注にはほとんど結びつきませんでした。

こうした失敗を重ねる中で、中山氏が行き着いた選定の方法が「小さな課題を投げて回答の質を見る」というものです。

初回の面談で実際の課題を提示し、「あなただったらまず何をしますか」と問いかけることで、その場で提案の筋の良さを確認します。加えて、「これまでどんなサイトで、どれだけ数値を改善したか」という具体的な実績も必ず確認するそうです。

加えて中山氏が重視するのが、「こちらから依頼しなくても、データを見てみずから提案してくれるかどうか」という自発性です。毎週アクセスデータを共有していても、「何か気になることはありますか」と聞かれるまで動かないタイプでは、結局こちら側が数字を確認して依頼内容を決め直すことになります。

外部に委ねた意味を最大化するには、データを渡すだけで「この数字ならまずここを直すべきだ」と提案を持ってきてくれる人を選ぶことが重要だといいます。初回の課題提示への反応を見れば、その傾向はある程度見極められるそうです。

採用代行や営業代行での失敗、そしてSEO支援会社への依頼で成果が出なかった経験──これらに共通していたのは、相手の実力を事前に見極められていなかったという点でした。

そこから中山氏が導き出したのが、実績提案力自発性という3つの確認軸です。この3点を最初に確認することが、業務委託選定の失敗を防ぐ確実な方法だと中山氏は話します。

週次サイクルで回す、SEOコンサルタントとの協働スタイル

業務委託のSEOコンサルタントとの協働は、週次サイクルを軸に進んでいます。Google アナリティクスなどのアクセスデータをコンサルタントと共有し、週次ミーティングで施策提案を受ける。社内のSEO担当者が実行に移し、サイト改修が必要な場合は社内エンジニアが対応する――このリズムを積み重ねることで、やがて具体的な成果へとつながっていきました。

アナリティクスデータを共有し、施策提案を受けるサイクル

このサイクルが機能している理由は、コンサルタントがミーティング前にデータを確認し、毎回「今週はここを改善すべき」という提案を用意してきてくれるからです。

中山氏が自らデータを見て指示を出すのではなく、コンサルタントが主導して動く役割分担が、忙しい経営者でも無理なく継続できる体制を支えています。

記事制作も同様にフローが確立されています。社内のSEO担当者が記事ごとの仕様を策定し、クラウドソーシングサービスで業務委託契約を結んだライターへ発注。薬剤師や医療業界での記事制作経験を持つライターを選定しており、SEOコンサルタントと合わせた業務委託のパートナーは現在8~10名規模です。各ライターからの納品物は社内のSEO担当者が確認・公開するフローが定着しています。

独自データの活用でGoogleに評価された差別化コンテンツ

こうした週次のサイクルを通じて、中山氏が特に印象に残る施策提案が生まれました。それが「独自データの活用」です。

求人ポータルは競合サービスが多く、求人数だけでの差別化は困難な状況でした。そこで業務委託のコンサルタントが提案したのが、「セルワーク 薬剤師求人」ならではのオリジナルデータである「都道府県別の薬剤師の平均年収や求人件数の分布」を求人詳細ページや一覧ページに掲載するアプローチでした。

ただの求人ページはほかにもいっぱいある。独自のデータを出すことで、Googleにも独自性のある求人サイトと認識してもらおう、という施策でした。(中山氏)

この提案を受けて、社内のエンジニアがサイトに独自データを組み込む改修を実施。あわせてURL設計の見直しと内部リンクの最適化にも着手し、求人ページへの流入経路が整理されていきました。

こうした構造面の改善が積み重なることで、サイト全体の評価が徐々に上がっていったといいます。

業務委託活用がもたらした、数字と時間の変化

こうした継続的な施策の積み重ねが、数字として明確に表れ始めました。業務委託のSEOコンサルタントの起用前後で比較すると、その変化は顕著です。

2年の停滞から一転、月商2.5倍を実現した成果の全貌

業務委託を本格活用する以前の約2年間、セルワーク薬剤師求人の月商は200万円前後で推移していました。その数字が、業務委託のコンサルタントとの協働を経て大きく動きます。

アクセス増加と応募コンバージョン率の改善が同時に進み、現在の月商は500万円規模に到達。業務委託活用前の200万円から2.5倍以上サービス立ち上げ時の月商100万円からは5倍の成長という実績です。

業務委託との協働を始めてから数字が伸びていきました。流入が増えただけじゃなくて、コンバージョン率も上がっています。「応募数×単価」が売上になる構造なので、応募数が増えるほど売上も上がっていく仕組みです。(中山氏)

さらに、コンテンツによる流入増加も売上貢献に寄与しています。

オウンドメディアで順位を上げる手法はコンサルタントを起用する以前から取り入れていましたが、起用後は「どのキーワードでどんな内容の記事を優先すべきか」という方向性が明確になり、コンテンツの精度が高まりました。

薬剤師のキャリアや職場環境に関する記事が検索流入を生み、そこから求人ページへの動線が機能するようになりました。

分析を任せることで生まれた、新たな事業への時間

業務委託活用のもう一つの大きな効果は、中山氏自身の役割の変化です。

以前は中山氏がみずからアクセスデータを確認し、施策の方向性を考えていましたが、現在はその部分を業務委託のコンサルタントに委ね、提案内容の判断と承認に集中。

こうした役割の変化により生まれた時間を、グループ会社である株式会社セルバコンサルティングのSES事業に充てています。

業務委託を使う前は、自分でアナリティクスを見て施策を考えていました。今はそこを丸ごと任せています。両方やるのは難しいですから。空いた時間は、グループ会社でのエンジニア採用(SES事業)に使っています。(中山氏)

「両方は難しい」という言葉が示すように、中山氏の判断は明快です。SES事業を軌道に乗せるには、経営者自身が集中できる時間が必要でした。

SEOというひとつの専門領域をプロに委ねたことで、次の事業への投資に時間を振り向けられる環境が整ったのです。

業務委託の活用を検討している方へのメッセージとして、中山氏はこう話します。

自分たちでなんとかしようとすると時間だけが過ぎてしまう。すでに答えを持っている専門家に早く相談した方が絶対に早い。(中山氏)

SEOのように施策の選択肢が多く優先度の判断が難しい領域こそ、外部の知見を借りる判断の価値は大きいでしょう。

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本記事は2026年6月に実施した取材をもとに構成しています。取材情報は同時点のものです。

本記事で紹介した成果は取材対象企業固有のものであり、すべての企業に同様の効果を保証するものではありません。
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鈴木麻葉のアバター 鈴木麻葉 ナイルのプロ人材活用ナビ 編集者

イベント・カフェ・雑誌編集など、生活者に近い現場での企画・ディレクションを経験。その後、結婚式場の広告ディレクションやパンフレット制作を経て、女性向けメディアでビジネス・美容・ライフスタイルなどの分野の編集・執筆に携わる。
ナイルではtoB、toC向けコンテンツ制作をメインに担当。消費者・エンドユーザーの視点を熟知しているからこそ、企業の価値を「伝わる言葉」に変換する記事づくりを得意とする。